Main Image

『心音の森の妖精物語』第4話 〜ざわつくココロ〜(2014.01.04.放送)

※1. 上のスタート・ボタンプレイボタンをクリックすると、絵本パートのみお聴きいただけます。
  今週の放送すべてをお聴きいただく場合は、下のYouTubeよりどうぞ♪
※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作・絵》佐々木心音
《語 り》佐々木裕子
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ココネ、マーサ:佐々木心音
雪:佐々木裕子

『心音の森の妖精物語』第4話 〜ざわつくココロ〜(オリジナル・シナリオ)

八ヶ岳に“富士見高原”というそれはそれは緑に囲まれた場所がありました。
人々は、体を癒し、心を癒す場所として訪れるのです。
そこに、誰も足を踏み入れたことのない場所があるとは知らずに・・・。
これは”創造の森”のもっと奥、想像を超えた深い森の中の物語です。

“こころの森”に雪が降り始めた、ある日のことでした。
お空から降る雪たちと、森の妖精のココネはお話しをしていました。

『雪さん、お久しぶり。今年は沢山降るのかしら。』
「ええ、とても沢山降るつもりよ。だからいっぱいお話しできるわね。」

雪たちはキラキラと踊りながらそう言いましたが、ココネは踊る気分ではありませんでした。なんだか、すごく寂しいのです。
それに気付いた雪たちは歌いながら言いました。

「 どうしたの?ココネ、なんだか元気がないわね」
『皆、寒くなるとお家に帰っちゃうの。だから、暖かくなるまで、皆に会えないんだ。』ココネがそう言うと、
「そうか、そろそろ冬眠する時だね。」雪たちは微笑んで言いました。
『冬眠?っていうの?』

雪たちは不安そうな顔をしたココネに、

「そうよ、寒くなるとご飯がなくなっちゃうから、暖かいうちにご飯を集めて、なるべく疲れないようにって眠るのよ。」
と、教えてくれました。

「そうなんだ!それじゃあ、暖かい場所があったらいいんだね!」
ココネは急に嬉しそうに飛び回りました。

その頃、森ではくまのマーサが長い冬を乗り越える準備をしていました。

「大変大変、雪が降ってきちゃった。」
大好きなドングリを大急ぎで集めながら、マーサは言いました。

そこに、妖精のココネがやってきました。

『マーサ、マーサ!よかったーまだお家に帰ってなかったんだね!』
「やあ、ココネ!なんだか楽しそうだね!」そう答えたマーサですが、心はドングリに夢中です。
『うん!マーサ、なんだか忙しそうだね。ねぇ、皆は今どうしてるか知っている?』ココネが聞くと、
「ああ、イノシシのノン太達は、もうお家に帰ったよ。鹿のシータ達はお婆ちゃんのお山に行ったし、リスのリンリン達は白樺の木の上で眠っている。僕も急がなくちゃ!」とマーサは答えました。
「あれ?ココネは妖精の国に帰らないの?」
ココネはうつむいて言いました。
『うん...よくわからないんだけど、帰らない方が良い気がするの。』と。

そのときです。
「帰らないで…」
ココネに、また心の声が聞こえてきました。
『え?マーサも寂しいの?』ココネはびっくりして言いました。
「えへへ。そりゃ寂しいさ、僕だって。一人で冬眠はつまんないもん。」 マーサはなんだか恥ずかしそうです。
初めてその事を知ったココネは、勇気を振り絞ってマーサに言ってみることにしました。
『あのね…暖かいお家を作ったら、そこでみんな一緒にいられるかなって思ったんだけど…』
「暖かいお家かぁ…すごくワクワクするね!でもどうやって作るの?」と、マーサは答えました。
『マーサは、カマクラって知っている?雪だけで作る大きなお家なの。そのお家の中は、すっごく暖かいんだよ。』
「え?雪で作るのに暖かいの?そりゃあ、すごいや!」マーサは驚いて言いました。

『雪さんにお願いすれば、きっと作れるわ!もしも、出来たらマーサもそこで一緒にすごさない?』ココネが言うと、マーサは笑顔になって答えました。
「もちろんだよ!一人で眠っているより、ずっと楽しそうだもん!」
『それじゃあ、決まりっ!私、雪さんに頼んでくるわ!』
ココネはまた嬉しそうに飛び回りました。

それからココネとマーサは、一緒にカマクラを作り始めました。
もちろん、雪たちも一緒です。
雪たちは、踊るようにカマクラの上に降り続けています。

ココネが最後の仕上げに歌を歌うと、カマクラの中が、ほっこり暖かくなりました。
『出来たー!!!』皆で声を揃えて言いました。
そうして、真っ白で大きなお家を「森のカマクラ」と名付けました。
マーサが持って来たドングリと、ココネが集めた葉っぱのお布団で、お家の中も賑やかです。
『マーサ、ありがとう。おかげで、楽しい冬になりそうだわ。』
マーサは胸を張って答えました。
「どういたしまして!」

ココネとマーサは、嬉しくて踊り出しました。雪たちも一緒に踊りました。
『帰らない方が良いと思ったのは、こんな楽しいことが待っていたからかもしれないわね!』
ココネは踊りながら言いました。
「そうだよ、ココネ!暗いことを考えるのはやめようよ!」
そう言って、マーサは回転してみせました。

そんな楽しい噂は、お婆ちゃんの森に居る鹿のシータ達にも届き、今年の“こころの森”は、なんだか賑やかになりそうです。

作:佐々木心音


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

FM FUJI (Tokyo:78.6MHz Kofu:83.0MHz) にて毎週土曜 9:00AMより放送中!

番組へのリクエスト、メッセージは、こちらからどうぞ♪
『心音の花の里ごころ』ラジオ番組バックナンバーは、こちら♪
『富士見高原スキー場』ウェブサイトは、こちら♪