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『心音の森の妖精物語』第11話 〜許すココロ〜(201.03.08.放送)

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※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作・絵》佐々木心音
《語 り》佐々木裕子
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ココネ:佐々木心音
もみ爺や:佐々木裕子

『心音の森の妖精物語』第11話 〜許すココロ〜(オリジナル・シナリオ)

こころの森の妖精“ココネ”は、枯れてしまったもみ木の“もみ爺や”に座って、夜空を見上げていました。
空には、沢山の星がまるで宝石のように光り輝いています。
「怖がることはない。ワシはお前さんが大好きじゃ。」
ココネには、もみ爺やの言葉が頭から離れませんでした。
どんなに悪い生き物でさえ、大きな愛で包むもみ爺や。
いなくなって初めて、その存在の大きさに気付きました。

そんなココネの元に、ピンク色のものが降ってきました。
ココネは、流れ星がこちらにやってきたのかと驚きました。
でもそれは、あのゆりの花「ゆうりん」の花びらでした。
『ゆうりん!まだ森に居てくれていたのね。』
ココネは、ほんの少し笑顔を取り戻しました。
ゆうりんが、ココネの頬っぺたにフワっと触れると、かすかにお花畑の匂いがしました。
『なんて良い匂いなの。この匂いは、皆を幸せにするわね。』
ココネが言うと、ゆうりんはフワリと手のひらに乗りました。
『皆を幸せにする匂い...それだわ!』
するとココネは、ゆうりんを両手でやさしく包み、飛びあがりました。

向かったのは、森を襲い続ける、ヌボーンのところでした。
ヌボーンは小さくなっても、虫たちの心を奪い続けながら生きていました。
そこでココネは、ヌボーンに言いました。
『ねぇ、私と歌を歌わない?』
するとヌボーンは、ドロドロした体でゆっくりとココネの方に向かってきました。
どうやら、ココネの心を狙っているようです。
『この森にいる限りみんな仲間よ。』
ココネはそう言うと、いつもの歌を歌い始めました。
心のないヌボーンには届かなかった、あの魔法の歌です。
でも今回は、違いました。

ココネは自分を信じていました。
もみ爺やの言葉を信じていました。
そして、ヌボーンを信じていました。
ココネは歌に乗せて、ゆうりんをそっとヌボーンに差し出しました。
幸せになるいい匂いが、辺り一面に広がっていきます。
ココネは笑顔でした。もう怖くなんかありません。

すると突然、ココネに、心の声が聞こえてきました。
「ごめんなさい。」
黒く曇った心の声は、ヌボーンのものでした。魔法の歌が届いたのです。
『もう大丈夫だよ。辛かったね。』
心音は微笑みかけました。
その時です。

なんとその声に応えるかのように、黒くドロドロしていたヌボーンは、だんだんと透き通っていきました。
「信じてくれて、ありがとう」
そう言うと、ついにヌボーンは、透明で綺麗な水になりました。
ココネには、それがヌボーンの涙のように見えました。
『あなたに沢山の心を教えてもらったわ。ありがとう。』
その夜は、空いっぱいに流れ星が流れていました。
心の森の幸せを願うかのように...

作:佐々木心音


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

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